法定相続人のうち行方不明者がいる場合

相続ガイド

法定相続人のうち行方不明者がいる場合

 

不在者がいる場合の遺産分割

相続の手続上、一部の相続人だけで遺産分割協議を行い調印したとしても、その遺産分割協議書は認められません。

 

遺産分割協議は、あくまでも相続人全員の同意が必要となります。

 

そのため、まず亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍の収集を行い、配偶者や子供の有無を確認し、相続人を確定します。

 

次に、相続人の最新の戸籍及び住民票を用意しますが、相続人のうち住民票の住所に住んでいないなど、行方不明の方がいる場合には、「不在者財産管理人の選任」 または 「失踪宣告」 という手続きを行う必要があります。

 

不在者財産管理人の選任及び失踪宣告は、いずれも相続人が行方不明の時に執る手続きですが、法的な効果には大きな違いがあります。

 

 

不在者財産管理人の選任

不在者財産管理人とは、行方不明者が所有する財産を、行方不明者にかわって管理・保存するための人で、行方不明者が生存していることを前提として、家庭裁判所の権限外許可を得た上で不在者に代わって遺産分割協議に参加したり、不動産の売却等を行うことができます。

 

不在者管理人の選任には、行方不明者の従来の住所地又は居所地の管轄の家庭裁判所に、不在者財産管理人選任の申立を行う必要があります。

 

行方不明者が生存していることを前提としているため、行方不明者の所在不明の期間にかかわらず、音信不通で行方不明になっているような場合にこの手続きを行います。

 

申し立てについては、誰でも行うことができるわけではなく、行方不明者がいることによって相続手続きが進められない相続人など、一定の利害関係のある人に限られます。

 

手続きにかかる期間は、家庭裁判所に申立をしてから約3ヶ月ほど時間を要します。

 

法定相続人は、不在者財産管理人にはなれません。

申立人の推薦する親戚等の候補者、または家庭裁判所が選任した第三者である弁護士、司法書士等がなる場合もあります。

 

注意しなければならないのは、不在者財産管理人の申立てはあくまでも行方不明者の財産管理を行う権利を得るために行うもので、遺産分割協議に参加する権利は含まれません。

 

遺産分割協議に参加する権利を得るためには、別途「権限外行為許可」を裁判所に申請し、許可を得る必要があります。

 

 

失踪宣告

失踪宣告とは、生死が7年以上不明の者に対して、法律上その者を死亡したものとみなす制度です。(普通失踪)

 

失踪宣告があると、不在者は死亡したものとみなされるので、婚姻関係は解消し、相続が開始し、死亡保険金の受取りなど死亡した場合と同じ取扱いを受けることになります。

 

なお、普通失踪のほか、船舶の沈没、火災・震災など死亡の原因となる危難に遭遇し、その危難が去った後、その生死が1年間明らかでないときの特別失踪(危難失踪)があります。

 

失踪宣告も不在者財産管理人選任の申立同様、不在者の従来の住所地又は居所地の管轄の家庭裁判所に失踪宣告を申立てます。

 

通常、行方不明者に子供がいればその子供が相続人となるため、行方不明者の子供も遺産分割協議に参加し遺産を分割する必要があります(代襲相続)。

 

ただし、被相続人が亡くなった後に行方不明者が亡くなったとみなされた場合には、代襲相続ではなく通常の相続として行方不明者の子供が相続人となります。

 

後になって失踪宣告を受けた人の生存が確認された場合には、失踪宣告を取り消すことが出来ます。

 

失踪宣告を取り消した場合でも、その失踪宣告を受けた人の財産について既に遺産分割が行われていた場合にはその分割は有効とされますが、相続財産を受け取った相続人は失踪宣告の取消しがされた時点で手元に残っている財産がある場合には本人に返還しなければいけません。

 

取消がされた時点までに使用した金銭や、すでに売却してしまった不動産などについては返還する必要はありません。

 

 

手続き方法の選択

「不在者財産管理人の選任」と「失踪宣告」の2つの方法の選択についてはどのように行えばよいのでしょうか?

 

それは、行方不明者の所在が不明と認識されてから、どれだけの期間が経過しているのかによって判断をする必要があります。

 

行方不明と認識されてから7年以上経過すれば「失踪宣告」の対象となりますが、7年未満では対象外です。

 

そのため不在者が行方不明となってから7年未満の場合には「不在者財産管理人の選任」、7年経過している場合には「失踪宣告」による手続きを行うことが通常となります。

 

しかし、行方不明となってから7年以上経過している場合でも、家族の心理やさまざまな事情などから行方不明者を死亡扱いすることに問題が生じる場合などには「不在者財産管理人の選任」の手続きを選択することもあるかと思います。

 

ブログトップへ戻る